あなたと出会ったころ
コクリコの花が咲いていたことを
まだ憶えてますか
古い石垣と生垣
かたむいた電信柱
黒くて重たい自転車で
あなたは風になって
わたしを丘の上から連れ去った
あなたが旅立ったころ
コクリコの花が咲いていたことを
まだ憶えてますか
輝く海に浮かぶ船影
青い松の木の香り
それはやっぱり悲しかったけど
わたしはもう一人でも
漕ぎ出すことができると知っていた
坂道を駆け上がる潮風が
手紙を運んでくれる
きっと、ずっと、あなたが
あなたがどこにいても
わたしはとても元気です
去年より背が伸びました
わたしはいつもここにいて
いまも、これから先も
あなたの旅の無事を祈っています
コクリコ坂から
愛をこめて